断熱性について教えてください。必ずやらないといけないんでしょうか?
やらないといけないですね。義務というわけではないですが、外壁の構造上断熱をやらなければやっぱりエネルギーが消失したり、外から入ってきたりするんですね。それはやはり住みにくいんですよ。その”住みやすいかどうか”が基準として断熱のレベル分けをやっているんです。
例えば国の基準で言えばレベルを3つに分けていて、グラスウールを入れてサイディングを貼って、石膏ボードでしめています。これをレベル1だとすればもっと断熱効果があるものをレベル2、さらにあるものをレベル3としています。より良い住宅を建設・供給していこうという視点からそのレベルに応じて住宅金融公庫から融資が受けれたり、金利を低く設定してもらえたりするわけです。
断熱性能そのものは住み心地の問題ですし、本人の好き嫌いもありますから必ずやらないくてはならないというものではありません。むしろ防火性能などは他の家にも影響があるため、そういったものに関しては建築基準法で義務付けられています。
外断熱と内断熱について教えてください。
断熱には外断熱と内断熱があります。工法にも依るんですが一般的にはコスト的に安い内断熱にされる方が多いです。防火性能上、家の外と内側に防火材を使うわけですからその中に断熱材を入れればコストが安くなるんです。内断熱で使うグラスウールも普及品ですから安いですからね。
外断熱のメリットは熱の流入・流出を建物の外でやってしまうので熱喪失が低いという考え方があるんです。例えば外壁が日光で温められても外で止めてしまうわけですから熱の流出入の効率はいいですよね。
それでもやはり内断熱の方が多いです。コストの問題以外にも躯体を防火材で覆わなくてはならない決まり上、外断熱はその上から断熱材を使用することになるので壁そのものが見掛け上分厚くなってしまいます。そうなると躯体の外側にスペースが必要となりますよね?隣の家屋との隙間が50cmしかないと。その50cmのスペースにさらに断熱材のスペースとして10cmだということになると隙間は40cmになってしまい、都会ではなかなか難しいです。外断熱がまだ普及していないこともあってコストが高くなってしまうことも内断熱が多い理由に挙げられますね。
高気密と高断熱はまったく違うものなんでしょうか?
高断熱というのは例えば外断熱で言えばスタイロフォームという発泡スチロールの一種を使いますが、次世代省エネ基準の4等級に位置しているもので言えばカネライトなどの断熱材を使ったりします。通常のスタイロフォームより断熱性が高く薄い物もあるのでそういったもので熱の流出入が引く建材を使って断熱することを言います。
高気密というのは、室内の空気が窓や壁・柱の間の隙間を無くして空気や熱を流出していくことを防ぐことを言います。ただ、空気が出ていかないということでハウスシック症候群が増えてしまいました。今はだいぶ建材における化学物質の量も減りましたが、やはり気密性の高すぎる家だとアレルゲンとなる物質も出ていかない。そのため住宅では24時間換気が義務付けられ、常に空気を動かすことになりました。今の建築業界の基準では化学物質の取扱いに関して非常に厳しくなったことと、いくらドアや窓などに高気密のための建材を使ったところでアンダーカット(※下側を切って換気扇を回すと空気が流れる。換気経路のためにわざと設けられた隙間を言う)などを使って空気が常に動いているわけですから厳密な意味での「高気密住宅」というのは実際はもう新築されていません。
24時間換気がついていない家はどうやって空気を入れ替えをするんでしょう?自ら窓を開けるしかないということでしょうか?
そうなりますね。
窒息しないんでしょうか?
酸素は減ってはいくでしょうね。ただそこまで窓やドアを開けないということはなかったんでしょう。ぼくらは室内の人間が排出する二酸化炭素量を仮定して換気しなくてはならない時間を出す計算なども学びましたが一般住宅では公共施設ほど人が多いわけではありませんから、日常の生活の中で窒息しない程度の空気の入れ替えは行えているということだと思います。
ただ寝ている間は換気しないから、結構酸欠になっているから体にあまりよくないとは言われていたりしますね。
空気清浄機だけでは室内の空気をきれいにできないんでしょうか?
自分が家に住む立場を考えれば、「もう断熱とか(必要以上に高性能を求めなくても)いいですやん。」と言いたいです。(笑)クーラーを使用しないで済むレベルの断熱を実現しようと思えば、軒先を深くして直射日光が部屋に入り込まないようにしたり、家と家の間の通風を確保するために隣棟間を取らないといけなくなります。それは都会では難しいでしょう。
それよりも大切なことがあると思います。仮に断熱性能が低くても、ホルムアルデヒドなどといった有害物質を使わない家をつくることだとか。
多少暑かったり寒かったりしても物質に対応するアレルギーができない方が、長い目でみれば子供たちにとっても有益ですよね。